2020年ハイライト

SDGs対談
社会と共に持続的な成長を遂げていくために

SDGsを起点としたリンテックの取り組み

2018年2月に発足したSDGs委員会は、SDGsへ貢献する活動を推進するとともに新しいビジネスを創出することを目的にした全社的な組織です。
歴代の推進担当役員である2人が、SDGs委員会が担う役割、そしてSDGsを切り口にしたイノベーションについて語り合いました。

私たちの暮らしや仕事において
切り離せない存在となったSDGs

海谷 SDGs委員会が発足してから2年が過ぎました。この2年の間に社会の価値観も変わり、SDGsへの関心はますます高まっているように感じます。

服部 そうですね。環境の問題などもより身近になってきているように思います。プラスチックごみなどもその一つ。
私たちの身のまわりにあるプラスチックがごみとなって海に流れ込み、生態系に大きな影響を及ぼしています。このようにかつて資源の流れは消費するだけの一方通行でしたが、最近では持続可能な循環型へと変化しつつあります。

海谷 そのような変化はビジネスでも同じです。当社に関係が深い分野では、2019年秋、大手メーカーがプラスチック製のPOPラベルを全廃すると発表して社会の関心を集めました。プラスチックごみや廃棄時のCO2削減などがその理由です。

服部 半導体メーカーなどでもSDGsを意識した取り組みを積極的に進めています。これらのお客様は、リンテックのようなサプライヤーにも同様の取り組みを求めており、サプライヤーを評価する項目に環境対応などを盛り込んでいます。これらの取り組みが遅れていると取引が不利になり、場合によっては取引を失ってしまうことにもつながります。

海谷 SDGs委員会がスタートした頃、私自身、SDGsについてはあまり理解していなかったように思います。それは当社の多くの従業員も同じだったのではないでしょうか。それが最近では、私たちの生活や仕事にとって切り離すことのできないテーマになっています。今感じているのは、SDGsが当社の中にイノベーションを生み出していく、新しい切り口になるという手応えなのです。

イノベーションを生み出すのは、
「なぜ?」という発想とやり抜く力

海谷 当社では、中期経営計画にLIP(LINTEC INNOVATION PLAN)という名称をずっとつけてきました。しかし、そのイノベーションがなかなか起こりにくい会社になっているのではないかと心配しています。

服部 それは私も感じています。長年にわたって培ってきた技術や製品に捉われすぎて、新しいチャレンジが生まれにくくなっている。技術開発や製品企画面ばかりでなく、仕事のさまざまな場面で自分たちの可能性を狭めてしまっているのではないでしょうか。従業員の皆さんには、そのことに気付いてほしいと思っています。

海谷 実は可能性を秘めている技術なのに、新しい発想が出ないために、埋もれてしまっているものも多いように思います。イノベーションには外部から技術や発想を取り込む手法もありますが、それではなかなか社内に根付かせるのが難しくなります。社内に埋もれている技術を発掘して、新しい価値を見出す手法を大切にすべきです。そのような活動を継続的に積み重ねていくことが重要だと考えています。その新しい切り口となるのが、SDGsへの貢献だと思っています。

服部 少し個人的な話になりますが、家庭で話をしていてもSDGsという言葉はなかなか出てこないのではないでしょうか。しかし、例えばごみの分別などで「ペットボトルのラベルが剥がしにくい」といった話はよくします。そこで「リンテックの技術で解決できないの?」といった話題になることがあります。イノベーションを起こすために大切なのは、この「なぜ?」という発想です。私は、従業員の皆さんが職場でも家庭でも、このような会話が自然に生まれてくるような風土をつくっていきたいと思っています。それに加えて、イノベーションに欠かせないのは「やり抜く力」です。

10年後の“あるべき姿”を見つめ、
SDGsへ貢献する活動を継続していく

服部 海谷本部長は、2020年度からSDGs委員会の推進担当役員を引き継ぎました。今後、どのように活動を進めていきたいと考えていますか?

海谷 そうですね。私は、SDGsへの貢献は企業にとって社会への本気度のようなものが試されるテーマであると感じています。当社では、服部社長が「SDGsを経営に組み込んでいく」と明確に表明されていますから、その想いを揺らぐことなく受け継いでいきたいと思っています。

服部 その言葉は、SDGs委員会が発足した時から推進担当役員としてずっと言い続けてきました。今後も変わることはありません。

海谷 今、当社では、2030年を見据えた長期ビジョンの策定を進めており、これからは10年後の目標に向かって、3年ごとの中期経営計画を柔軟に推進していくことになります。私は、SDGsも同じように長期的かつ柔軟に取り組んでいくべきものだと考えています。あまり前のめりになってしまうと、足元ばかりを見た活動になってしまいます。本来、SDGsはそのような取り組みではないと思うのです。

服部 そのとおりですね。従業員の皆さんには、10年後の企業としての“あるべき姿”を常に意識して日々の活動に向き合っていってほしいと思います。そのような姿勢から、イノベーションが生み出されていくのです。

関連情報

特集アーカイブ