環境報告

環境負荷化学物質の管理

リンテックグループでは、国内外における環境法令や各種規制などを遵守し、環境負荷化学物質の管理に努めています。国内では、VOC*1、PRTR法*2対象物質の排出量のモニタリングを実施、特に取扱量の多いトルエンについて削減に努めています。

  • *1VOC:Volatile Organic Compoundsの略称。大気中で気体状となる有機化合物の総称。
  • *2PRTR法:Pollutant Release and Transfer Register (化学物質の排出・移動量)の届出制度を法制化したもの(特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善の促進に関する法律)の略称。化学物質の排出量・移動量に関するデータを把握・集計し、国に報告して公表される仕組み。

PRTR法への対応

リンテックで2022年に取り扱ったPRTR対象物質はトルエン、キシレンなどで、総取扱量は5,625tでした。
その中で、最も量が多かった物質はトルエンで、前年度比1,436t減となる5,508tでした。大気への排出量は357tで前年度より77t減少し、移動量は456tで前年度より60t減少しました。全体として無溶剤化の推進および生産減少により使用量、排出量ともに減少しました。
有機溶剤の大気排出を減らすため処理機を設置しており、定期的に点検・掃除および排出濃度測定を実施し、性能維持に努めています。新たな処理設備設置に当たっては、従来処理できていなかった低濃度溶剤ガスの濃縮装置を取り入れ、処理効率の高い設備を導入していきます。また剥離剤処方や粘着剤の無溶剤化を一層進めることで取扱量を削減しています。

2022年度 トルエンの排出量・移動量

2020年度 トルエンの排出量・移動量

トルエンの排出量・移動量変化

表は横にスライドして御覧いただけます。

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
トルエン取扱量(t) 7,919 7,652 6,614 6,800 5,508
大気への排出量(t) 489 464 399 434 357
除去量(t) 6,901 6,825 5,719 5,851 4,695
除去率(%) 93.4 93.8 93.5 93.1 92.9
移動量(t)
(廃棄物として処理)
529 363 496 516 456
  • 除去率=除去量/(取扱量-移動量)×100

化学物質管理、EUにおける各種環境規則への対応

リンテックでは、環境負荷物質調査対象物質を定め、購入原材料について調査を実施しています。化学物質の適切な管理・把握により、関連法規の遵守およびお客様への情報伝達に努めています。また、REACH規則において、情報伝達のあるSVHC(高懸念物質)認可対象候補物質はさらに追加され29次までの合計で235物質となりました。(2023年6月14日現在)
今後も対象物質は追加されますので、迅速に規制物質情報を得て環境負荷物質への対応を行います。また、環境に配慮した製品対応に努めながら、製品含有化学物質の管理を強化していきます。

  • REACH規則:EUの化学物質規制で、化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規制の略称。EU諸国への化学物質を年間1t以上輸出する場合に登録が必要。また、製品中に認可対象候補物質に該当する化学物質を0.1%以上含有する場合は届け出が必要。

製品情報提出の流れ

製品情報提出の流れ

災害や化学物質の漏えい事故などを想定した訓練

リンテックグループの化学物質を取り扱う工場、研究所では、化学物質の漏えい事故を想定した訓練を実施しています。訓練の目的は、化学物質の漏えい事故が発生したときに敷地外に流出することを防ぎ、土壌汚染や火災などを発生させないよう、従業員が安全に処置するためです。2022年度は安全衛生法の有機溶剤取り扱いのない本社などを除く9事業所で訓練を実施し、計541名が参加しました。またLNG(液化天然ガス)や都市ガスの漏えい対応訓練に75名が参加しています。