一般的に開発が進められているハイバリアフィルムは、プラスチックフィルムの表面に、バリア層となるセラミックなどの無機物層を数百ナノ*メートルの厚みで形成してつくられますが、リンテックではこのバリア層の密度を高める独自の製法を開発しています。厚みを薄くすることができ、曲げてもバリア層が割れにくいのが特徴です。また当社では、このフィルムを貼り合わせるための、水蒸気を通しにくい粘着剤も開発しています。機能性フィルムと粘着剤を併せて提供できるのは、粘着素材メーカーならではの強みと考えています。
*ナノ:10億分の1。100ナノメートルは1万分の1ミリメートル
例えば、次世代テレビ用として各電機メーカーで開発が進められている有機ELディスプレイは、水蒸気や酸素に弱い素子をガラス基板で挟んだ構造になっています。このガラスに代わる素材として、ハイバリアフィルムを使用することで、ディスプレイの薄型化や軽量化、さらには丸めたり折り曲げたりできるフレキシブルディスプレイを実現することができます。
世の中にない新しい材料や技術の研究に取り組んでいますが、最終的な製品イメージをしっかりと持ち、開発の方向性を間違えないように気をつけています。今後は、さらに薄く、そして一定の厚みにコントロールできるよう現在の薄膜形成技術を進化させていきたいです。また、新たな手法に挑戦し、独自の製造技術の確立も目指していきます。