10リンテック LINTECエッセーESSAY安東 弘樹私はフリーランスでアナウンサーという仕事をしています。また、日本で新しく販売された自動車の中から「今年の1台」を選ぶ日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下COTY)の選考委員を拝命しております。その立場で、車のメーカーや輸入会社がジャーナリストを様々な場所に集めて新しく販売する車を数台から十数台用意し、順番に試乗させる、という「試乗会」に参加します。それを元にジャーナリストや選考委員は記事を書き、COTYに相応しい車は、どれかを判断するのです。また試乗会に参加出来なかった場合や、更に検証したい場合はメーカーの広報車を長時間、借りて試乗する場合も有ります。最近は動画投稿サイトに動画を上げるジャーナリストの方が増え、実際に多くの視聴者が目にしていて、それは良い事だと思っていますが、個人的に気になるのが、かつての様な、愛のある叱咤が減っているという事です。確かに最近の車で「酷い」ものなど存在はしないのですが、その批評の内容や構成(美点や要改善点の割合)が全ての車に対して、あまり変わらないのです。まるで不文律が存在するかのように8割〜9割が高評価で残りの1割〜2割で改善を求める、という具合です。諸外国のジャーナリストの記事や動画を観てみると、時に批評が難しい日本
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