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自分が楽しくなければ 周りを楽しくできないESSAYエッセーリンテック LINTEC 山本 博中学1年の時にアーチェリーと出会い、この競技に青春時代を捧げてきた。幸い1984年ロサンゼルス五輪で銅メダル、2004年アテネ五輪で銀メダルを獲得することができた。それと同時並行で高校や大学で教員として生きてきた。そんな日々を振り返りつつ、私にとっての「仕事(競技と教職)へのこだわり」を聞いていただければと思っている。スポーツは遊びが起源である。だから本来的に楽しくなければ意味がない。また、人に頼る前に、まずは自分が創意工夫しなければならない。私は45年間の競技人生において一度もコーチに指導を仰いだことはない。人に相談することはあるが、それはあくまで学ぶためである。すなわち、こだわりその1は「他人に頼らない」ことになるだろうか。その2は「成功体験を重ねる」こと。とても達成できそうもない高い目標を掲げると、挫折だけを味わってやる気をなくしてしまう。それを避けるためには、あと少し背伸びすれば届く程度の目標を立て、意識を高めて行動を改善する。そのようにして、小さな成功を体験したら、次はもう少し高いところを目指す。そんなふうに階段を少しずつ上がって行くと、ある日、劇的に成長した自分と出会うことができるようになる。とはいえ、苦手分野で悪戦苦闘していては効率も悪いし、成果も得られない。だから、その3は「得意な分野に励む」こと。好きこそものの上手なれ。私の場合はそれがアーチェリーだった。70m先の的の真ん中に当てるために日々研鑽する。命中すれば、これ以上の幸せはない。外れたとしても研究課題が与えられたのだと考え直すことができる。得意分野だからこそ、集中力も増すし、成功も失敗も糧になる。そこから導き出されるその4は、「失敗を恐れず挑む心を楽しむ」ということになるだろうか。映画の名台詞に、「負け犬とは負けることを怖れて何もしないヤツのことだ」というのがある。だから私は、とにかく挑ん12

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