統合報告書2025
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 2025年3月期は、生産能力増強や生産プロセス革新によるコスト競争力強化などのテーマが大きく前進した1年となりました。具体的には、半導体関連粘着テープや積層セラミックコンデンサ関連テープといったエレクトロニクス市場向け製品の供給能力向上に資する塗工設備増設が完了したほか、新規設備を導入するタイミングで旧型機を新規設備に集約する「ビルド&スクラップ」を積極的に実践し、省エネルギー・低コスト・高品質化を実現する“筋肉質な生産体制”への移行を推進しました。また、当社はオプティカル材事業において偏光板の粘着加工事業を手がけていた韓国・台湾の生産子会社を閉鎖しましたが、これを契機として国内の生産拠点の見直しも実施。新宮事業所(兵庫県)を龍野工場(同)に統合する組織変更により、管理・間接部門を一本化することで業務効率の改善などにつなげています。 当社の生産体制の強みは、どの事業部門の製品であっても、顧客ニーズに応えられる製品を短期間で開発・カスタマイズ・量産化して提供できることにあります。それは粘着製品の一貫生産体制を持つ技術的アドバンテージに加え、営業・研究・生産現場が日常的にコミュニケーションを取る仕組みが根付いていることも大いに関係しています。例えば「デザインレビュー」という研究開発の初期段階から将来の量産化を見据えて段階的に議論する会議体があるほか、各事業部門とは利益率目標などを達成するための改善施策などを定期的に話し合っています。こうした三位一体の固有の強みを発揮しながら、2026年3月期も絶え間ない改善活動によって、製造技術力・品質力・原価力に磨きをかける考えです。市場競争が激化する分野であっても、圧倒的な製品力によって他社の追随を許さない最高水準の製品をお客様に提供し続けます。減につながる塗工方法を採用しているほか、塗布する剥離剤の調合、原紙・製品の入出庫も含めて徹底した自動化を実現しており、持続可能な生産システムを特徴としています。新工棟の建設を含めて約48億円を投じた今回の設備投資を機に、当社はインドや中国、欧州、北米など海外市場での合成皮革用工程紙の拡販につなげていく考えです。取締役専務執行役員  生産本部長兼品質保証本部管掌兼 環境・安全統括本部管掌33小松島工場の新工棟資本強化戦略本部長メッセージまつおひろゆき 生産能力増強 ここでは、工程紙や粘着製品用剥離紙の主力生産拠点である小松島工場(徳島県)で導入した新規塗工設備についてご紹介します。当社では、靴やバッグ、家具などに使われる合成皮革の製造工程において、本革のような表面の質感を再現する、いわば型紙の役割を果たす工程紙をグローバルに提供しています。合成皮革は今、車体の軽量化による航続距離の向上が求められる電気自動車の内装用途などで注目されています。特に自動車用では広い幅の合成皮革のニーズが高まっており、当社としても顧客対応力と市場競争力を強化する観点から対応が急務となっていました。新設備は2025年 8月に完成し、9月に稼働を開始。高速・高精度で塗工できる最新鋭の機能を生かし、生産能力は従来設備の約1.5倍に高まり、広幅仕様を中心に工程紙の増産を図っていきます。また、有機溶剤を使用せずVOC(揮発性有機化合物)排出量削製造技術力・品質力・原価力に 磨きをかけ最高水準の製品を提供尾 博松之生産戦略

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