統合報告書2025
33/70

2 企業間コラボレーションで新発見 VブーカUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代において、社会・お客様が求めるニーズも多様化しており、自前主義だけではない外部との共創活動も重要性を増しています。当社は従来連携してきた大学や研究機関に加え、近年は企業間のコラボレーションにも注力しています。インキュベーションセンター「ARCH」への参画はその一例です。同センターは新規事業の創出をミッションとした施設で、同じ目的を持つ幅広い業種の企業が会員として参加しています。当社は会員企業とのコミュニケーションなどを通じて共創テーマの発案を試みており、当社が蓄積してきた製品・技術が全く新しい用途や分野における課題解決の糸口になる可能性が判明しました。「ARCH」は大企業が中心の施設ですが、ベンチャー企業やスタートアップ企業が集う別のコラボ3 マーケット対話型の研究開発を洗練 こうした取り組みの最終的な目的は、新製品や新技術の創出によって既存事業を強化したり、新規事業を創造したりすることにありますが、人材育成の観点でも重要な意味を有しています。当社の研究開発体制の特徴は、研究員が営業とともにお客様の元に足を運び、研究員ならではの視点と情報収集力でニーズを的確に把握する“マーケット対話型”の研究開発にあります。近年は、困り事をヒアリングして動くのではなく、お客様の製品や用途、製造プロセスな31ベストなタイミングで新技術を提案できるように盤石な体制で臨んでいます。その一環で、海外販売拠点においても駐在研究員を増員し、国内の研究員との連携を強化することで、微細化の進む半導体デバイスの生産性や信頼性向上につながる材料の開発を継続して実施しています。レーションスペースにも参画しており、あらゆる側面から新規事業の“種”を探求しています。どを明確に理解することで、お客様も気づいていない潜在的なニーズを掘り起こし、具現化する力を磨いています。与えられたテーマではなくゼロからモノづくりを考える「RIC」や他社の技術思想に触れられる「ARCH」への参画を通じてマーケット対話型の研究開発をさらに進化させ、お客様の期待を超える製品やサービスを提供する能力を養っています。 絶え間ないイノベーションを生む基盤構築1 研究所独自のイノベーション活動「RIC」 新技術・新事業を絶え間なく創出するための取り組みとして、R&D Innovation Challengeの頭文字をとった「RIC」があります。「RIC」は新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的・企業的に大きな変化をもたらすことを目指す研究所独自の取り組みです。研究員は自身の自由な発想に基づく新製品開発や研究開発効率向上などのテーマを設定し、業務時間の30%を上限に、イノベーション活動に挑戦できます。2022年に始まった試みですが、国際学会で受賞を果たす技術が生まれたり、生産性向上に役立つシステムが開発・実装されたりするなど、続々と成果が生まれています。

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る