統合報告書2025
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財務領域ROE 「Stage 2」 最終年度目標 8%以上非財務領域PER • 社会的課題の解決• イノベーションによる企業体質の強靭化• 持続的成長に向けた新製品・新事業の創出28収益性(R) の向上資本効率(E) の向上の改善積極的な株主との 対話やIR活動の推進サステナビリティ 経営の推進持続的成長に向けたキャッシュアロケーション 前期に減損損失を計上した洋紙事業はパルプ価格の高止まりや販売数量の減少に伴う収益性の課題を抱えていますが、当社の粘着製品ビジネスにおいては剥離紙用原紙を内販するという原材料製造を担う部門でもあり、現時点での撤退や売却はかえって他事業部門の収益に悪影響を及ぼすリスクがあります。ただし、事業の構造改革自体は必要不可欠であると認識しており、まず2025年7月、熊谷工場で稼働中の抄紙機1台を停機することを決定しました。 構造改革は、印刷情報材事業部門のマックタック・アメリカ社やオプティカル材事業部門でも推進しています。マックタック・アメリカ社では生産・物流拠点の統廃合やサプライチェーンの再検討などを進めており、効率化とコスト削減効 現状、当社のPBRは企業価値評価の基準となる1倍割れの状態が長期化しており、一刻も早い適正株価の形成が課題であると認識しています。前期における当社のWACCは6%前後と見ており、継続的なPBR1倍超えを目指すためには、WACCを上回るROEを安定して創出していくことが重要であると強く認識しています。「LSV 2030」では売上高営業利益率12%以上、ROE10%以上という財務目標を掲げ、中長期的な企業価値向上を目指しています。そのためにも、先述した構造改革やQCD強化、新製品・新事業の早期立ち上げにより売り上げ拡大と利益率の向上を図るとともに、適正果を見込んでいるほか、年間約40億円ののれん償却負担が中計期間で終了することから、今後は収益拡大が期待されます。オプティカル材事業部門では、偏光板の粘着加工事業を手がけていたリンテック・スペシャリティー・フィルムズ(韓国)社とリンテック・スペシャリティー・フィルムズ(台湾)社を前期に解散しました。液晶ディスプレイ関連事業においては、昨今の中国企業の台頭などにより、両拠点での業績の回復が見込めないと判断したためです。同事業部門では今後、有機ELディスプレイ関連向けの偏光板ビジネスに引き続き注力していくほか、車載用ディスプレイ向け粘着製品や光拡散フィルムなどの独自製品の拡販に努め、固定費の削減にも着実に取り組んでいきます。な資本配分や機動的な株主還元を通じて、ROEの継続的な改善に努めています。過去には、売り上げ拡大に重点を置く傾向が強く、相対的に利益や資本効率への意識が弱くなっていたという課題がありました。2030年3月期の目標として売上高や営業利益の目標をあえて開示していないのも、そうした社内の意識改革を促すためです。 加えて、2024年3月期からは事業部門ごとにバランスシートを分析・活用する体制に移行しています。固定資産、棚卸資産、売掛債権の回転率などのKPIを設定しているほか、ROICを用いた事業管理にも本格的に着手しています。今後• QCD強化による既存事業の高収益化• 抜本的な構造改革と事業ポートフォリオの最適化• 新製品・新事業の早期立ち上げ• DXによる開発・製造・物流・業務プロセスなどの変革• 売上債権や棚卸資産、固定資産の回転率向上による資産効率• 株主還元の充実• 個人・機関投資家に対するIR活動の強化• リンテックホームページのIRサイトや統合報告書の充実• E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)への取り組み強化• サステナビリティ経営に関する情報開示の充実資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応財務戦略 CFOメッセージ長期ビジョン 三つの重点テーマさらなるROE向上に向けて構造改革の推進PBR

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