統合報告書2025
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27* CAPM(Capital Asset Pricing Model)を用いた当社にて算出の加重平均資本コスト 前期(2025年3月期)の事業環境を振り返ると、国内においては食料品などの物価高騰による買い控えが見られたほか、原燃料や物流コストの上昇傾向など厳しい経営環境が継続しましたが、売上高と営業利益について過去最高を更新することができました。 前期の業績を分析すると、いくつかのポイントがあります。最大の要因は半導体・電子部品関連製品を中心に販売数量が大幅に回復したことです。世界的なAI関連投資を背景に、アドバンストマテリアルズ事業部門の主力製品である半導体関連粘着テープ・装置、積層セラミックコンデンサ関連テープの売上高が過去最高水準となりました。また、海外子会社の業績が総じて堅調に推移したことも理由に挙げられます。米国子会社のマックタックグループでは前期から赤字幅が約20億円縮小したほか、同じく米国のマディコ社やVDI社については利益貢献の度合いが大きくなりました。海外売上高比率が約64%に達する中、為替水準が円安に振れたこともあり、営業利益ベースでは約22億円の押し上げ効果が見られました。2023年3月期284,603百万円13,796百万円11,512百万円 今期(2026年3月期)の連結業績予想につきましては、増収減益を予想しています。減益予想とした理由の一つが為替影響です。今期の想定為替レートは前期実績から7円 円高の1米ドル145円としました。シール・ラベル用粘着製品や半導体・電子部品関連製品などを販売する海外子会社の業績は前期に引き続き堅調に推移すると見ているものの、円高による為替影響があります。さらに、人件費や新規生産設備の導入による減価償却費などの固定費増加のほか、原燃料・輸送コストの上昇が利益の押し下げ要因となることが想定されますが、全社一丸となった原価低減施策などを通じて、利益を着実に積み上げていく考えです。 なお、売上高については、中期経営計画「LSV 2030-Stage 2」(中計)最終年度で掲げた経営目標を前期に達成しました。この点を踏まえ、投資家の皆様からは中計目標の上方修正を期待する声が寄せられます。ただ、今期の連結業績予想や不確実性の高い事業環境が継続していることを鑑み、2025年5月の決算発表では中計目標を据え置きました。中計目標の上方修正については、今期の業績推移などを注視しながら、適宜検討を重ねていく所存です。2024年3月期276,321百万円10,628百万円5,243百万円5.3%4.3%5.2%0.65倍2.3% 3.1%5.3%0.93倍よういちCFOメッセージROE向上を重要な経営課題と 位置づけ、収益性と資本効率の 向上を実現します。資本強化戦略売上高営業利益親会社株主に帰属する当期純利益ROE(自己資本当期純利益率)ROIC(投下資本利益率)WACC(加重平均資本コスト*)PBR(株価純資産倍率)連結業績推移取締役常務執行役員 管理本部長しばの野 洋2025年3月期315,978百万円24,562百万円14,476百万円6.1%6.9%6.0%0.76倍2026年3月期(予想)317,000百万円24,000百万円18,000百万円柴一――――2025年3月期の振り返りと2026年3月期の計画財務戦略

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