半導体関連事業の深化と拡大 半導体分野においては、現在、EUV露光機用CNT(カーボンナノチューブ)ペリクルの量産体制を2026年3月期中に確立させるプロジェクトが進行中です。加えて、2024年3月期の後半から生成AI向けHBM(広帯域メモリー)関連でも需要が高まっています。しかし、これに満足することなく、当社の技術を生かせる領域をさらに広げていくことが重要だと考えています。だからこそ、お客様のニーズを徹底的にリサーチし、数年先の未来に求められる可能性が高い製品を迅速に開発・提供する体制を強化しています。また、半導体技術は今後もより微細化・高集積化の方向へと進化していくことが予想されます。既存領域だけでなく、半導体市場の最先端領域にも積極的に挑戦し、半導体製造プロセスにおける当社製品の活用領域のさらなる拡大を目指していきます。 詳細はP.48〜50「環境」を参照 詳細はP.22〜23「成長分野1」を参照 詳細はP.24〜26「成長分野2」を参照現し、持続的成長につながると確信しています。今後も全社を挙げて取り組みを加速するとともに、積極的な投資を行っていきます。 成長を見込む北米ラベル市場 当社の海外売上高比率は6割を超え、既にグローバル企業としての基盤を確立していますが、今後さらにグローバル市場での競争力を高めるためには、市場ごとの特性やニーズの違いに柔軟に対応することが不可欠です。各地域の文化や規制、お客様の要求は多様であり、日本で開発・製造した製品をそのまま展開できないケースも少なくありません。当社の技術力を生かして、地域ごとのニーズに最適化した製品開発を推進しています。 中でも大きな成長を見込んでいるのが北米ラベル関連事業です。粘着ラベル市場として、アジア・太平洋地域や欧州に次いで、北米は3番目に大きな市場規模であり、今後も人口増加に伴う成長の伸びが期待できます。マックタック・アメリカ社はのれん償却負担の影響で営業赤字が続いていますが、同社は環境負荷の少ないホットメルト粘着剤の処方技術や高速塗工お客様との対話から生まれる価値創造 先行きが不透明な時代においても持続的な成長を実現するためには、顕在ニーズに対応するだけでなく、潜在ニーズを察知し、それを先回りして製品・サービスへと反映していくことが求められます。 こうしたアプローチの元となるのは、リンテックの強みの根源である、お客様との深いコミュニケーションだと信じています。このような考えに至った原点には、私が入社当初に経験した出来事が関係しています。 1980年、私は当社の前身である不二紙工株式会社に営業職として入社しました。その頃は粘着製品についての知識が乏しく、アドリブ力にも自信がなかったた設備など、高度な技術を有しています。これらの強みを生かすことで、近い将来に当社グループの業績向上にも大きく貢献すると考えています。 め、営業職としての適性に悩んでいました。そんな私に当時の上司が「口がうまいことが良い営業ではない。誠実にお客様のことを考えることが良い営業だ」と言ってくださったのです。この言葉が私を勇気づけ、そして40年以上経った今も私の心に深く刻まれています。この教えを胸に、商談の成果が思うように出なかった時期も、「お客様は今何が必要なのか」を常に考えました。何度もお客様の元に足を運び、さまざまな声に耳を傾けるうちに、徐々にお客様の課題や要望が見えてくるようになりました。今度はそのニーズに合った製品をご紹介できるよう社内の研究開発や生産部門とも連携するなど、「集合知」を活用しながら提案の幅を広げ15将来のニーズへの先手対応
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