55 当社では毎年、ガバナンスの実効性評価を実施し、課題と考えられる項目に対して具体的な対策を取り、着実な改善につなげています。重要な投資案件といった取締役会だけでは十分な議論が難しい案件については、取締役審議会 日本企業にとって資本コストや株価を意識した経営の実現が急務となっています。当社では、限りある資本をどの分野に投入して強靭な会社に向かっていくかを、取締役審議会や指名・報酬委員会等を通じて議論する体制を整えており、M&Aや大型設備投資の実施によるリターンなどを深く議論 当社は自己資本比率が高く財務基盤が安定しています。一方で、ROEやPBRの水準は必ずしも高くなく、この状況が継続した場合、資本コストに対する意識や投資効率の優先順位に課題がある可能性を示唆しています。こうした状況をかなこを開くなど、ガバナンス体制が有効に機能しています。残る課題としては、各事業で資本コストを上回る資本収益性があるかを適宜把握し、構造改革を含めた改善提案につなげていくという点が挙げられます。取締役会では何度か議論になっているものの、利益面では特定事業への依存度が高い状況が継続しており、抜本的な構造改革に向けた議論がさらに活性化されると考えています。 2024年4月から長期ビジョンの実現に向けた新たな中期経営計画が始まりました。経営目標の達成に向けては、基盤となる「LDX 2030」の着実な実装とこれを支えるためのDX人材の充実が不可欠です。情報共有のためのデータベース構築や内発的動機付けを導くDX教育は私の専門分野であり、取締役会でも有益なアドバイスをしたいと思います。する体制が整っています。また、サステナビリティ委員会への出席を通じ、会社の循環型社会への実現に向けた取り組みの進■を把握できる環境にもあります。 新中期経営計画では、個別の具体的な施策や開発案件を多く打ち出しています。いずれも当社が競争力をより一層高めていくためには必須であり、そのためのM&Aや設備投資などは積極的に推進すべきだと考えています。ただ、全ての投資がうまくいく保証はありません。個々の案件につき、リスクの取り方が適切であるか、リターンの蓋然性はどのように検討されているかなどを確認することが重要です。合理的かつ相当と言える検討がなされているかという点に主眼を置きながら、さまざまな製造業での顧問弁護士の経験も踏まえて取締役会をはじめとする会議体で発言したいと考えています。踏まえ、投資案件の評価基準に資本コスト等の経営指標をより明瞭な形で組み込み、NPV(正味現在価値)やIRR(内部収益率)などの指標と併せて、投資の経済合理性に関する検討を厳密に実施することが必要だと考えています。 グローバルな取引においては、事業評価や戦略的意思決定が重要です。私は会計税務の専門家として、企業価値の評価や財務分析のスキルを生かした価値ある洞察を取締役会に提供したいと思います。特に、企業の研究開発投資等を促進する税制をはじめとした諸制度の効果を取り込むことに貢献する所存です。加えて、グローバル取引で考慮すべき為替変動リスクや金利変動リスク、地政学リスクといった多岐にわたるリスクを洗い出し、当社のリスク管理体制や内部統制の強化について支援していきます。取締役(社外)奥おくしま島 晶あきこ子取締役(社外) 監査等委員 大おおさわ澤 加奈子取締役(社外)監査等委員杉すぎもと本 茂しげる抜本的な構造改革に向けた 議論の活性化を期待資本コストや株価を意識した 経営の実現へ知見を発信会計税務の専門家としての価値ある洞察を取締役会に提供
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