29サステナブルな社会づくりへ前進 事業開発室では、省エネルギーや創エネルギー、海洋資源保全、情報通信・エレクトロニクス、モビリティ、医療・介護といった分野を中心に、新製品・新事業の創出に向けた開発を進めています。2022年7月にはこれらの各開発テーマについて「Wウェルサートelsurt」という新しいパーパスブランドを設け、技術開発と社外への技術提案を強化しました。創業から蓄積してきた当社独自の粘着や剥離、抄紙技術に加え、米国子会社の研究開発拠点「ナノサイエンス&テクノロジーセンター」が持つ固有技術などを生かして、「社会」と「環境」に関する課題の解決を目指しています。社会に対するイノベーションでは、ミリ波帯電磁波制御シートが一つ挙げられます。この開発品はミリ波領域の電磁波の制御が可能なシート材料で、自動車の先進運転支援システムとして搭載されているミリ波レーダーが正常に作動しているかどうかを調べるエーミング検査の場面などで用途提案を進めています。同様に、環境に対するイノベーションでは薄型熱電発電モジュールがあります。■かな温度差を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換することができるモジュールで、厚さ0.6mmと薄型でありながら曲面への貼付・追従性にも優れています。低温廃熱を利用したバッテリーレス電源として、ヘルスケア領域への挑戦で、予防医療に貢献 2022年4月に新設された次世代技術革新室では、5年以上先の中長期的な視点で、既存事業に捉われない独自の革新的な技術や事業の確立を目指しています。国家プロジェクト「経済安全保障重要技術育成プログラム」への参画を通じ、他の研究機関や関連企業と共同で半導体の偽造防止技術の確立へ乗り出すなど、外部との積極的なコラボレーションも特徴としています。進行中の開発テーマの一つが、東京大学との共同研究「多孔質マイクロニードルパッチ」の開発です。同製品は直径50μm未満の極細針をアレイ状に並べ、人体に影響のない安全性の高い粘着テープと組み合わせることで、皮膚に貼付できるパッチ形態にしたものです。多孔質マイクロニードルの作製ノウハウを有する東京大学と、生体安全性が高い粘着テープの開発実績を持つ当社の知見を融合させています。当社では同パッチを活用して痛みのない低侵襲で生体間質液を抽出し、それをマイクロニードルと生体安全テープの間に配置した分析シートと反応させIoTセンシングなどでの活用が期待できます。当社グループでは、“モノづくり”からサステナブルな“社会づくり”を加速することで、新たな価値の創造に努めていきます。リンテックの技術と「多孔質マイクロニードルパッチ」の 構造イメージることで、家庭でも簡易的に糖尿病をはじめとする病気の診断に役立てられないかということを検討しています。予防医療というヘルスケア領域に挑戦することで、人々のQOL(生活の質)向上や医療費削減による持続可能な医療体制の構築に貢献していきます。粘着テープ技術生体安全テープ洋紙加工技術分析シート社会環境多孔質マイクロニードル塗工/生分解性樹脂技術事業開発室ミリ波を適宜、吸収、 透過、反射して電波を自在にコントロールできる制御シート廃熱を利用したバッテリーレス電源として応用可能な薄型熱電発電モジュール次世代技術革新室社会的課題の解決に貢献する製品開発が加速
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