13 当社はBtoBの事業が主体の企業であり、お客様とはいわば同じ船に乗る者同士です。お客様が市場競争を勝ち抜き、ナンバーワンの企業となれるよう「最重要かつ最強のサポーター」として後押しすることこそが、当社グループ自身が熾烈な競争を勝ち抜き、各分野でナンバーワンとなるための必要条件なのです。 こうした役割を果たすうえで、お客様から求められるニーズを正確に把握して当社グループの技術力で忠実に具現化するために、目まぐるしく変わる市場環境の中で、私たちの技術力も常に進化していかなければなりません。 また、お客様の直面する課題に対し、お客様自身が考える「解」が、必ずしも最適解になるとは限りません。言い換えれば、表面上のニーズは「真のニーズ」とずれている可能性があるのです。こうしたずれを把握し、真にベストな提案をしていくためには、卓越した技術開発力が必要です。 当社グループは、研究員が営業担当者と共にお客様の元に足を運び、直接コミュニケーションを取る「マーケット対話型」の研究開発を推進しています。また、研究開発機能が集中する「研究開発本部」に加え、事業統括本部内に「技術・開発室」「事業開発室」「次世代技術革新室」を設置し、相互の連携を図っています。その狙いは、新製品・新事業創出に向けた技術開発の「多元化」そして「全社化」にあります。 当社のモノづくりは、グループ内の多様な意見を拾い上げ、全員の「集合知」によって新たなものを生み出していくのが特徴です。こうしたアプローチは今後一層、効果を発揮するでしょう。これだけ変化の激しい時代に、技術開発のリソースをある特定の専門部署に限定するのは、かえって無理があります。 したがって、技術開発によるイノベーションの担い手は研究開発職といった技術系の社員にとどまりません。個々の 当社は100年近い企業活動の中で、さまざまな専門的知見、技術開発のノウハウを獲得してきました。それらは四つの基盤技術(粘着応用技術/表面改質技術/特殊紙・剥離材製造技術/システム化技術)に大別されますが、これはあくまで便宜的な分類でしかありません。現に、先ほど言及したEUV露光機用CNTペリクルは、上記のどの分類にも該当しません。当社グループの社員たちが狭義のニーズに対して受け身の対応に終始していたら、こうした開発は不可能だったでしょう。 お客様の「最重要かつ最強のサポーター」となるためには、ニーズと当社の知見・ノウハウを融合させるだけでなく、柔軟な姿勢での現場視点の技術開発が欠かせません。そして当社には、このようなモノづくりの文化が受け継がれ、組織に根付いているのです。営業担当がお客様との日々のコミュニケーションの中から抱いた問題意識が、製造現場からの提案なども通じ、新製品の具体化への確度が高まり、部門を越えてお客様の課題を解決することにつながっていきます。 このように営業・研究開発・製造現場が一体となって技術開発に取り組むことができるのは、当社特有の組織文化と言えるでしょう。また、上述のような目的に沿った開発組織の設置のほか、各種プロジェクトの分科会・委員会では、関係部署から選出されたメンバーが協議することで、 現場の情報収集から経営層の意思決定までを迅速に行うことができます。外部環境の絶え間ない変化にこうして柔軟に対応できるのは、部門の壁を越えてグループ全社員が一丸となる「団結力」があるからです。これこそ、当社の強みの源泉です。ニーズと強みの融合による技術開発「団結力」が生む全社的なスピード感
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