統合報告書2024
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12価値創造ストーリー社長メッセージ ここで改めて、長期ビジョンに込めた私たちの思いを説明します。 当社は、1927年に切手のように水をつけて貼る包装用ガムテープの製造・販売で創業しました。それまで主流だった木箱に代わる段ボールケースの普及を見据え、国内で初めてガムテープの量産を開始し、1950年代に入ると戦後の復興需要に応える形で一気に業容を拡大しました。その後、高度成長期においては、シール・ラベル用粘着素材を皮切りに、自動車関連など各工業分野に相次いで進出。さらに1980年代後半には、拡大しつつあった半導体業界のニーズに応えるべく、UV(紫外線)照射により粘着力をコントロールする新技術を用いた製品を開発しました。そして1990年に、FSK、四国製紙、創研化工の3社合併を経てリンテック株式会社となり、事業の拡大により今日の6事業部門体制を確立しました。 振り返ってみると、当社グループはお客様のニーズに応えつつ、その時々の社会的課題の解決に貢献するという歴史社会的課題の解決に 貢献してきた製品例 サステナブルな社会づくりの一翼を担い、あらゆるステークホルダーから信頼される企業であり続けるためにも、ESGに配慮したサステナビリティ経営が不可欠です。「LSV 2030-Stage 2」策定に当たり、当社を取り巻く環境を踏まえ、環境対応、知的財産、製品開発、人材などに関わる優先的に取り組む課題をマテリアリティとして特定し、その評段ボールの普及に伴い、需要が拡大した包装用ガムテープ現在の主力製品でもある、シール・ラベル用粘着製品を刻んできました。この基本姿勢は今日においても変わることはありません。2023年12月に公表した「EUV(極端紫外線)露光機用ペリクル」の要素技術確立も、その一例です。ペリクルとはフォトマスク(半導体の回路パターンの原版)への異物付着を防ぐ防塵膜となる重要な部材で、近年その素材として、高耐久なカーボンナノチューブ(CNT)が注目を集めています。当社グループはCNTシートの開発を手がける米国の研究開発拠点「ナノサイエンス&テクノロジーセンター」において、2018年からこのカーボンナノチューブを用いたペリクルの開発に着手し、そしてついにEUV露光による次世代半導体の微細回路形成に欠かせない、より高度な材料の要素技術を確立するに至りました。 モノづくりの徹底的な追究、飽くなき深掘りを通じて、新しい時代を切り開く新技術を生み出し、サステナブルな“社会づくり”の一翼を担うこと。それが長期ビジョン「LSV 2030」の精神です。価指標であるKPIを新たに設定しました。さまざまなKPIを定めていますが、いずれの取り組みも経済的価値にも社会的価値にもつながっていくものと考えています。サステナビリティ委員会では社外取締役を含めた関係者が進■状況をモニタリングするなど、中期経営計画とマテリアリティを両軸に強力に推進していきます。半導体業界に大きな革新をもたらしたUV硬化型ダイシングテープ長期ビジョンの精神:モノづくりの徹底による社会貢献新たなマテリアリティを設定

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