統合報告書2023
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 2023年3月期はロシアのウクライナ侵攻、急激な円安、米中貿易摩擦の激化など、まさに“VUCA*”の時代を実感した一年でした。当社グループの事業環境も非常に厳しいものとなりましたが、原燃料価格の高騰については営業担当の地道な努力で、お客様に業界全体の底上げの必要性について共感いただきながら価格転嫁を進めています。秋口以降にはエレクトロニクス市場の急激な落ち込みもありましたが、同市場では数年サイクルで在庫調整局面が訪れ、その後に急回復するのが常であり、今後の需要の急増にしっかりと対応できるよう計画どおり停滞することなく設備投資を進めています。また環境意識の高まりを受けて、各種プラスチック代替製品の提案強化や剥離紙の無溶剤化を推進することができたのは大きな成果です。 今期については次期中期経営計画、そしてその先に向けた“準備の一年”になると捉えています。長期ビジョンで掲げるROE10%以上を達成するためには収益性の改善が不可欠であり、製品競争力を高めるための生産設備のビルド&スクラップや、事業ポートフォリオの最適化なども検討していきます。また、人々の行動様式が変わっていく中で、世の中を支える製品・サービスを提供し続けることが当社のパーパスだと私は考えています。新製品・新事業の構築に向けて、当本部の事業開発室、次世代技術革新室などで新たな事業の創出を目指しており、引き続きEUV露光装置用ペリクルなどの事業化を進めています。さらに私が推進担当役員を務めるSDGs委員会で提案されたアイデアに対しても、両室が参画して事業創出に向けた協議が始まりました。今後も生産本部や研究開発本部と三位一体となり、当社の強みの一つであるお客様に寄り添ったカスタマイズ力を発揮することで、パーパスの具現化を目指していきます。* VUCA: Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、 Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4語の 頭文字を取った、将来の予測が困難な状態を指す言葉27取締役専務執行役員 事業統括本部長海かいや谷 健たけし司事業統括本部長メッセージ収益性の改善と新事業開発に取り組み、 社会を支える製品を提供し続けていきます事業戦略

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