統合報告書2021
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△240201820192020202119312612658.647202億円24016080-80-160-240-3202017026リンテック 統合報告書 2021 当社グループは2021年3月末時点において自己資本比率70.2%と高い財務健全性を誇っています。また、約50億円の借り入れに対して約620億円のキャッシュを保有しています。株主・投資家の皆様からは今後のキャッシュの使途についてよく聞かれますが、約6割は海外連結子会社が運転資金や設備資金として持っており、残りの4割は単体で市況変動に備えるための資金として確保しています。これは単体売上高の2か月分に満たない額ですから、決してキャッシュを持て余しているわけではないと考えています。 必要な投資については安定した財務基盤をベースに積極的に行っていく姿勢であり、今期からスタートさせた中期経営計画「LSV 2030-Stage 1」では、旺盛な需要が続くと予想されるエレクトロニクス関連製品などの増産投資、メーカーとして対応強化が求められている環境関連投資などを中心に3年間で400億円を投入する予定です。同時に生産設備の統廃合や工場のスマート化も推進していきます。初年度となる今期は吾妻工場(群馬県)の剝離フィルム塗工設備と熊谷工場(埼玉県)の剝離紙塗工設備の増強、および各工場におけるCO2排出量削減に向けた設備の導入などで約120億円の投資を見込んでいます。 またM&Aについては、当社グループにとって有益なものについては前向きに検討していくべきであり、案件があ 安定した財務基盤は当社グループの強みですが、一部事業における収益性・資本効率の低さが大きな課題となっています。連結売上高の約5割を占める印刷材・産業工材関連セグメントは、コロナ禍の影響を大きく受けて収益が悪化し、2021年3月期は約2億円の営業損失を計上しました。引き続き対策チームによる立て直しを進めており、事業統括本部をはじめ生産本部や調達本部、研究開発本部などが連携しながら原材料の見直しや歩留まりの向上、固定費の削減などによる収益性の改善に取り組んでいます。 また、各事業部門の資本効率を把握・管理していくために、今期から事業部門別のバランスシートの作成を進れば当本部で収益性やリスクを精査しています。今年4月には米国の粘着製品メーカーであるデュラマーク社を買収しました。2016年に子会社化した同業のマックタック・アメリカ社の生産能力増強やグラフィックフィルムの内製化によるコスト削減といったシナジーが期待され、安定成長が続く北米市場での収益拡大につながるものと考えています。なお、デュラマーク社買収については約3億円の負ののれんが発生し、今期の第1四半期に特別利益として計上しています。める予定です。これを適切な資産管理や不採算要因の分析に役立てるとともに、棚卸資産・固定資産などの回転率をKPIとして設定し、社員一人ひとりが採算性や収益性を今まで以上に意識していく環境をつくりたいと考えています。 また、全社的な業務改善に向けてDXの推進も重要なテーマとなります。情報システム関連も管轄する管理本部としては、ビジネスインテリジェンスツールによるデータの可視化や社内の承認プロセスの電子化などを既に実施していますが、これからもデジタル化を一層加速していかなければなりません。業務プロセス改革室と共に、生産性向上への新たなシステムの導入も検討していきます。(3月期)フリー・キャッシュ・フローの推移CFOメッセージ財務状態と投資戦略収益性・資本効率向上への取り組み

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