統合報告書2021
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イノベーションによる企業体質の強靭化 二つ目のイノベーションによる企業体質の強靭化については、サステナブルな社会の実現に貢献していくためには自らが強靭な企業体質を有している必要があると考えています。当社グループを取り巻く事業環境が激しく変化していく中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)による設計・開発、製造、物流、業務プロセスの変革を強力に推し進め、競争優位性を確保していきます。全工場の生産設備について塗工方式や乾燥方式などの見直しを行い、省エネや高品質、高効率、省人化を目的としたビルド&スクラップも実施していきます。こうした生産プロセスの革新により、さらなるコスト競争力の強化に努めるほか、成長が期待できない、または利益率の低い事業や製品アイテムを見直すとともに、業績が低迷するグループ会社の経営の健全化を目指した抜本的な構造改革も推進していきます。これらの諸施策の実行や積極的な研究開発などによって利益の最大化を図り、 強固な財務基盤を維持しつつ、資本効率を向上させていきたいと考えています。18リンテック 統合報告書 2021 ガバナンス面においては、客観的な視点と豊富な知識、経験を持つ社外取締役の積極的な起用などを通じて取締役会の実効性のさらなる向上を図っていきます。また、適切な情報開示と透明性の確保、あるいは株主・投資家との建設的対話についても一層強化・推進することで、ガバナンスの強化につなげていきます。 SDGsについては、2018年に発足させた全社横断組織であるSDGs委員会を中心に取り組みをさらに加速し、事業活動を通じてSDGs達成に貢献できる企業グループを目指していきます。社長メッセージ 持続的成長に向けた新製品・新事業の創出 最後に、持続的な成長を遂げていくためには新製品・新事業の創出が不可欠です。これまで培ってきた独自の技術開発力を生かしつつ、既成概念に捉われない新たな発想と技術革新による新製品・新事業の創出を目指していきます。注力分野としては、エレクトロニクス、エネルギー、サーマル、資源・エミッション、3R(リデュース・リユース・リサイクル)などを中心に社会的課題の解決に貢献する製品の開発を推し進めていきます。また、成長事業を拡大していくための戦略的投資やシナジーが期待できるM&Aも機動的に実施していく考えです。さらに、海外グループ会社が独立独歩で業績拡大していくためには、ローカリゼーションの確立が欠かせません。メード・イン・マーケットの考え方に基づき、現地で原材料を調達し、各市場のニーズに見合った製品づくりを推進することで、さらなる競争力の強化を図っていきます。目標とする2030年3月期の財務指標 最終年度となる2030年3月期の財務指標としては、売上高営業利益率12%以上、ROE10%以上を掲げ、採算性の向上と資本コストを大きく上回るリターンの実現に向けて積極的に取り組んでいきます。売上高や営業利益を数値目標として設定しなかったのは、将来の法律や会計基準を見通せない中で、約10年先の経営指標にそれらを採用することは現実的ではないと考えたからです。また、現在育てている新規事業の芽吹きが読めない中で大きな売上高目標をコミットすることは適切ではないことなども考慮し、長期ビジョンにおいては利益率のみを数値目標として掲げることにしました。従来の中期経営計画においては売上高や営業利益に偏重していた面もありましたので、利益率や資本効率を重視する今回の長期ビジョンはこれまでとの考え方の違いがはっきりしていると思います。一方で会社の持続的成長を目指すうえでは、売上高や営業利益は当然追いかけていくべき重要な数字ですので、3か年ごとの中期経営計画ではしっかりと目標として掲げていきます。

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