統合報告書2019
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65SDGsを組み込んだ経営戦略を推進し、事業の成長と持続可能な社会の実現の両立を目指していきます。西尾人材育成という面では、従業員を積極的に海外に出向させ、経験を積ませるのが一番の近道です。日本人スタッフを各拠点に配置し、また地域統括会社を活用しながらリスクを迅速に、かつ確実に吸い上げる体制、そして重要案件を継続してモニタリングしていく体制を構築していきたいと考えています。大岡もう1点挙げるなら、やはり研究開発ですね。高度な分析機器や大規模な試作設備、そしてしっかりした組織体制を持っているので、今後も研究開発に力を入れて、収益性の高い新製品を継続的に市場に投入していかなければなりません。大澤昨年、オランダのリンテック・ヨーロッパ社を訪問し、欧州での営業活動について話を聞く機会がありました。同社は規模がそれほど大きくない中で、当社グループの強みである高付加価値品の拡販に集中して一定の成果を上げているということですが、こうした事業拠点をリンテックの確かな技術力でしっかりとサポートする体制があってこそ、海外でのさらなる成長が可能になるのではないかと感じました。西尾当社は現在、200人以上の研究スタッフを擁し、海外 拠点にも多くの人員を派遣しています。また、毎年80億円規模の研究開発投資を実施していますが、これは将来の成 長に不可欠なことですから、今後も拡充していきたいと考えています。投資家の皆様からは、キャッシュはあるのだからもっと投資すべきだというご指摘を受けることがよくありますが、大前提として、当社にはリスクを恐れて投資しないというようなスタンスは一切なく、見込まれる効果がリスクより大きければ、技術提携やM&Aも含めて積極的に投資していく方針です。 リスクといえば、2018年は特に国内において記録的な猛暑や集中豪雨、さらには大型台風など、気候変動に由来する事業リスクをいろいろ痛感させられた年でした。気候変動への対応として、今後はますます温暖化対策などをはじめとした環境配慮が求められる時代になります。大岡リンテック製品の原材料には石油系のものが多くありますので、まずはその原単位を下げることが重要ですが、これについては全社プロジェクトとして数年前から非常に力を入れておられます。執行役員も参加する毎月の経営会議の場でも、毎回必ず各工場の進捗状況について報告があります。こうした取り組みはメーカーとして当然といえば当然ですが、環境対策であると同時にコスト削減策にもなります。そして環境負荷低減に寄与する製品開発ということについても、海外子会社との連携を強化しながら積極的に進めておられることを評価したいと思います。大澤設備面では、環境負荷低減のための投資計画案が各工場から上げられており、全社できちんと取り組まれていると感じています。環境配慮というCSRの観点からの取り組みと、価格競争力向上のためのコスト削減の取り組みが一体化していて、それが経営戦略の中にしっかりとビルトインできているのではないでしょうか。また、気候変動に伴う自然災害が増えている中、リンテックでは製品の安定供給に向けたBCP(事業継続計画)も整備しており、リスクへの対応が進んできていると思います。西尾当社では現在、CO2の排出量削減に向けて一連の設備投資を計画しており、その幾つかは既に着手しています。今後もこうした環境対策をはじめ、SDGsを組み込んだ経営戦略を推進し、事業の成長と持続可能な社会の実現の両立を目指していきます。 本日は多岐にわたるテーマにつきまして、いろいろと率直なご意見を頂き、ありがとうございました。Financial InformationESGStrategyOverview

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