統合報告書2019
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ESG64リンテック 統合報告書2019グローバル人材をどう育てていくか、そして海外子会社のガバナンスをどう強化していくかが大きな課題になってくると思います。大澤取締役会の構成というのは永遠の課題だと思います。取締役会全体のスリム化や、経営と執行の分離といった原則論はよく分かりますし、実際にそれが有効に機能している会社もあるでしょう。ただ、リンテックは事業領域が多岐にわたっているので、その点は十分考慮する必要があると考えています。西尾今年6月から取締役の人数が一人減りましたが、今後も人数の削減や独立役員の増員も含め、最適な構成割合を検討していきたいと考えています。ところで、取締役会の雰囲気はいかがですか。社外の方が意見を言いやすい雰囲気になっているでしょうか。大岡これまで外部の視点で自由に発言させてもらっていますし、社内役員の方からは「社外取締役がその場にいるというだけで違う」といった声も頂いています。私たちの役割は第一義的には会社の経営をしっかりチェックし、必要な時にいつでも適切な意見を述べることです。私はかつて銀行で企業分析や資産分析などに携わり、グローバル化時代の企業の国際競争力についても多少なりとも勉強してきましたので、そうした経験から気づいたことや疑問点などをお伝えするようにしています。大澤他社の社内役員の方などに伺ってみても、相手が社外取締役というだけで、「ちゃんと説明しなくては」「質問にきちんと答えられるだろうか」などと、良い意味で緊張されるそうです。私の場合、M&Aや企業法務に携わる弁護士としての専門的な意見も求められますが、それに加えて、投資家の方々と同じ目線で「これはどうしてですか」「その投資のリスクとリターンは見合っているのですか」といった素朴な疑問を社内の方にぶつけて、納得できる説明を引き出すことも大切な役割だと思っています。西尾以前は取締役会に情報不足の企画・提案書などが上がってくることもあったのですが、お二人から都度指摘されるうちに、かなり改善されてきたのではないかと思っています。いろいろとご意見をお聞きして、改めて気づかされたことや、「その視点は抜けていたな」という反省をしたことは何度もあります。大澤私たちの発言をきっかけに、社内役員の間で事業部門間の垣根を越えた意見交換が始まるような展開が望ましいと思います。それが正常なやり取りであり、その議論の呼び水として私たちが機能していきたいと考えています。大岡そうして議論が尽くされたうえで、西尾社長には取締役会の議長として、そして経営のトップとして最終的な判断を下していただければと思います。持続的成長に向けて西尾今後、当社が持続的な成長を実現するうえで、特に何が必要だとお考えでしょうか。大岡やはりグローバル経営の着実な推進です。そのためにはグローバル人材の育成や海外子会社のマネジメントにきちんと取り組む必要があります。それから、海外事業の比重が高まる中、現地のリスク管理にも細心の注意を払わなければなりません。こうした課題にしっかりと取り組みつつ、戦略的にグローバル展開を進めていくべきと思います。大澤同感です。国内市場が成熟化する中、海外での売上伸長は不可欠です。そのためには、グローバル人材をどう育てていくか、そして海外子会社のガバナンスをどう強化していくかが大きな課題になってくると思います。座談会 社長×独立役員

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