統合報告書2019
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21リンテック 統合報告書2019資本効率を高めるために 当社グループは、粘着製品や特殊紙などのリーディングカンパニーとして幅広く事業を展開し、安定した収益基盤を構築してきました。そのことにより2019年3月末においては、自己資本比率65.3%、流動比率240%、D/Eレシオ0.09倍という高い財務健全性を誇っています。しかし、資本効率の観点からは今後、自己資本をどのように有効活用し、収益性を高めていくかが大きな課題といえます。 現在進行中の中期経営計画「LIP-2019」では、最終年度となる2020年3月期にROE9%以上という目標を掲げていますが、残念ながら計画2年目となる2019年3月期は約7%にとどまりました。今後は、将来の収益拡大につながる新規事業への積極投資はもちろん、当社の事業にマッチしていると判断すれば、M&Aについても引き続き前向きに検討していきたいと考えています。そして、地域戦略の強化による国内外でのさらなる拡販や差別化した新製品の創出、コスト構造改革による企業体質の強靭化などに取り組み、利益の拡大を図っていきます。また、配当を軸とした株主還元の強化も含め、現状約6%と見ている当社の資本コストを大きく上回るROEの実現を目指していきたいと思います。株主還元の充実 当社は株主への利益還元の充実を経営上の最重要課題の一つと位置づけており、利益配分については、経営基盤の強化を図りつつ、各事業年度の連結業績を勘案し、安定的かつ継続的な配当を行っていくことを基本としています。この基本方針の下、2019年3月期の年間配当金は前期比12円増配となる1株当たり78円としました。2020年3月期の年間配当金は当期と同額の78円を予定しており、配当性向は41.7%となる見込みです。今後も業績の向上による株主還元のさらなる充実に努めていきます。1株当たり配当金/配当性向CFOとしての役割 新規事業への投資やM&Aなど、高度な経営判断を必要とする場面で、経営トップの意思決定や実行をしっかりとサポートしていきたいと思います。次期中期経営計画の策定にも関わり、そこで掲げる各種経営指標の意味や重要性をグループ全体に浸透させていくことも重要だと考えています。また私は、昨年3月までシンガポールの地域統括会社に赴任していましたので、その経験も生かしながら海外グループ会社の成長支援にも取り組んでいきたいと思います。CFOとしてやるべきことはたくさんありますが、資本効率の向上と株主還元の充実を図り、リンテックの企業価値を高めていきます。 最後に、当社のPBRが昨年末から1倍を割り込んだままの状態が続いていることに、CFOとして忸じくじ怩たる思いがあります。投資家との建設的な対話による企業価値の向上が求められる中、当社としては今後も積極的に情報開示を行い、業績や各事業の見通しなどについて、より丁寧にご説明することで、投資家の皆様の理解促進に努め、適正株価の形成を目指していきます。201620172018201920208080606040402020007843.543.541.742.341.635.77841.7666654円 % 1株当たり配当金 配当性向(右軸)(3月期)(予想)ESGStrategyOverviewFinancial Information

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