統合報告書2019
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18リンテック 統合報告書2019Strategy 北米における買収子会社の業績不振 海外に目を向けると、最大の懸案事項は2016年に買収したマックタック・アメリカ社の業績不振です。同社は2018年12月期にブレイクイーブンの営業利益を見込んでいたものの、原燃料価格の高騰などの影響で、前期に続き約5億円の営業赤字となりました。のれんの償却が毎年約30億円発生することもその要因の一つとなっていますが、同社の買収は当社グループが北米のラベル関連市場に本格参入する足掛かりを得ることができたという点で非常に大きな意義があります。今後、一層の拡販強化と収益力の向上を図ることで、のれん償却後の営業利益を早期に黒字化できるよう努めていきます。 海外事業の拡大に伴う為替変動リスク マックタック・アメリカ社の買収で海外売上高が急増したことにより、2019年3月期の海外売上高比率は47.8%まで上昇し、為替変動リスクも高まっています。米ドルはもちろんですが、韓国ウォンや中国元、台湾ドルなどアジアの主要通貨の動向も注視する必要があります。当社グループでは現在19の国と地域に拠点を展開していますが、為替予約やグループ会社間での通貨スワップなどを行うことで、為替変動リスクの軽減を図っています。海外売上高/海外売上高比率 地球温暖化など環境問題の深刻化 地球の平均気温の上昇に起因する異常気象は当社の事業にも影響を与えており、迅速に取り組んでいかなければいけない課題だと認識しています。その一方で、地球温暖化対策や脱プラスチックなどの動きは、新たな市場創出の機会でもあります。また当社はCO2の排出量削減に向けて、2030年度までに2013年度比で30%以上の削減を達成すべく、国内各工場を中心に総額で100億円規模の設備投資を計画しています。持続的成長を目指して こうした課題やリスク、あるいは今後の新たな事業環境の変化に迅速に対応しながら、さらなる成長に向けた取り組みを進めていきます。 研究開発力の強化 “技術立社”を標榜する当社グループにとっては、何よりも研究開発力の強化が不可欠です。新たな事業の柱を築き続けること、海外市場に対しては各地域のニーズに合った製品を提案し、安定供給していくこと、そして環境問題に対する画期的かつ明確なソリューションを提案し、ビジネスチャンスをつかんでいくこと。これらの全てに関わってくるのが、研究開発力だと考えています。また、先述の事業開発室と研究開発本部との連携による新規事業の創出、マックタック・アメリカ社や、同時期に買収した米国の機能性フィルムメーカーであるVDI社などが持つ独自技術の活用による新製品開発にも注力していきます。社長メッセージ200320072011201520191,200900600300806040200047.847.838.833.221.813.92084197068031,199 海外売上高 海外売上高比率(右軸)億円 %(3月期)CO2排出量削減目標 (2030年度) 2013年度比で30%以上

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