デジタルカメラやスマートフォン、あるいはSDカードやUSBメモリーなどにも使用されるICチップ。省スペースで高い処理能力を実現するこのチップの製造工程や実装に欠かせない特殊テープがある。それは、リンテックが長年開発を続けてきた半導体関連テープ「Adwill(アドウィル)」だ。土山が開発を担当している「Adwill LEテープ」は、その中でも極めて独創的な製品。表面に幾つもの回路パターンが形成された半導体ウェハを一つ一つのチップに切断(ダイシング)する際、ばらばらにならないよう“裏側から固定する”機能と、切断したチップを一つずつピックアップする際、回路基板の上に実装・積層(ダイボンディング)するための“接着剤をチップ裏面に転写する”機能を併せ持つ。
チップ切断と接着剤塗布という、二つのプロセスをカバーするこのテープの粘接着剤には、リンテックの最先端技術が集約されている。ウェハ裏面にテープを貼り付けるときには軟らかくてなじみやすく、紫外線を照射することで切断工程ではチップを固定する硬さを発現。そして、そのままテープの粘接着剤だけがチップ裏面に転写し、実装・積層後は熱硬化によってさらにしっかりと接着する。まさに“粘着力変幻自在テープ”だ。これまでリンテックが培ってきた粘・接着技術の粋を結集した多機能テープ。土山は日々、この「LEテープ」の改良に取り組んでいる。