CSR

特集:SDGs委員会

グループ全体で取り組む
社会課題解決に向けたSDGs活動

コーポレート研究と事業部門 中・長期テーマにおける社内プロセスの概要図

リンテックグループは、社是「至誠と創造」を根幹に、SDGsを経営に組み込み、本業を通じて社会課題の解決に貢献できるよう努めています。SDGsの目標達成に向けてグループ一丸となった活動へ発展させるため、SDGs委員会と西日本分科会が積極的な取り組みを進めています。

  • SDGs: Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称。2015年に国連で採択され、17の目標と169のターゲットで構成。2030 年を目標年に、国際社会共通の目標として、世界中の国やさまざまな主体が、より良い世界の実現に向けて議論を交わし、行動を起こしていくことが期待されている。

これまでの取り組み

2015年度にリンテックで開始した「攻めのCSRワークショップ」を前身に、2018年度にSDGs委員会を発足しました。事業を通じて社会課題を解決することで、リンテックの中にイノベーションを起こすことを狙いとしています。リンテックグループにとって、イノベーションは社是である「至誠と創造」の「創造」に当たる活動です。顧客の一歩先を行く提案のためには、社会課題から先読みして対応していく必要があります。
SDGs委員会は、研究、生産、営業など幅広い部署のメンバーで構成しています。メンバーはゼロからメガトレンドやSDGsについて知識を身につけていきました。また、少人数のチームに分かれ、SDGsをヒントに新規ビジネスや既存事業の新展開などを考案し、委員会でレビューとブラッシュアップをしました。こうした活動で得た学びをメンバーが各部署に持ち帰り、伝道師としてSDGsを社内に浸透させていくことにつなげています。

  • メガトレンド:世界的な社会の潮流。

SDGs委員会メンバーの声

本社で勤務していると他拠点・他部署の人との接点が少ないため、委員会でバラエティーに富んだ人、自分にとって新しい人との出会いに恵まれました。委員会で会った人はリンテックグループのごく一部なので、社内にはおもしろい考え方をする人がより多くいると思います。そのような人達が集まれば、より多くのこと、おもしろいことができそうだと思いました。
委員会では、多くの知識を身につけなければなりませんでした。しかし、チームで活動するようになって、足りない知識や手法に気が付くと、自然に調べたり勉強したりしている自分がいました。勉強して知識を取り入れて活かすことが好きなのかなと気が付きました。
初めてバックキャスティングの話を聞いたとき、未来が見えないのにどうやって考えるのだろうか、そもそもどういう意味なのかが分かりませんでした。やりたいことを考えれば良いと気が付いてからは活動が楽しくなり、バックキャスティングの有用性を実感しました。しかし、チーム以外の周りの人に同じことをしてもらおうとするとフォアキャスティングになってしまう経験が何度もあり、苦労しました。
SDGsを起点としたビジネスを考える際には、自分なりになりたい姿や理想像を持っておいた方が良いと思います。長期ビジョンの策定に関わりましたが、最終的にどのような状態になっているのが良いかを考え出すのがとても難しいです。「どうなっていたいのか」を持っておくと、物事を進めるときにスムーズに進むと思います。

勇崎 絵里
経営企画室
勇崎 絵里

今回はオンラインで学習から報告まで完結させるという初めての経験でした。その中でも一期間リーダーを経験することで意見の吸い上げ方、まとめ方等を試行錯誤しながら身につけられたと思います。
順番にリーダーという立場になることで、全員の意見が反映できるチームに仕上がったと思いました。オンラインでは発言のタイミングを計れず話せない方もいるかもしれませんが、リーダーとなれば話す機会を必然的につくることが可能です。また、各人の作業負担が分担できたこともよかったです。私のチームは、オンライン飲み会でかなり打ち解けました。飲み会ではなくても、少人数で雑談をする会があるとかなり違うと思います。
オンラインミーティングをすると、時間を雑談に割くのは良くないのかなと感じてしまうこともありましたが、オンラインで活動するためにはチームビルディングの時間や機会が通常より必要だと感じました。
バックキャスティングで社会、そしてリンテックのあるべき姿を描きましたが、不確かな未来の姿を描くことは難しく、現状から考えるフォアキャスティングの要素が強くなってしまうことに苦労しました。改めてバックキャスティングを強く意識して考え直すと、今度はリンテックとのつながりが全く見えてこない、説得力がなくなってしまう、そんな葛藤をチームで何度も繰り返していきました。バックキャスティングを用いてあるべき姿を描くことは、チームが、そしてリンテックがSDGs活動を通し貢献していくために重要な事柄と捉えて時間をかけて行いました。

祝 菜央
龍野工場 製造技術課 製造部
祝 菜央

人付き合いが得意な人、数値に強い人、ITに強い人、それぞれ異なる強みやスキルを持つ人が集まり、一つのことに取り組む機会を楽しむことができました。今回はSDGsというテーマで集まりましたが、ほかのテーマでもそれぞれ異なる強みやスキルを持つ人が集まることで、おもしろいことや今まではできなかったことができるようになる可能性があると感じました。私はもともと人見知りで、今までは日常や仕事で必要最低限の人としか交流できませんでした。しかし、初めて会った人とも意外と関係を築けることに気が付き、人と関わることが少し好きになりました。委員会を通じて、人と話すことを苦に感じなくなってきた自分を発見できました。
SDGs委員会では、未来からバックキャスティングをしながらアイデアを考えるようにしていました。数人で起業する場合であれば、未来のありたい姿を共有しやすく、計画が多少粗くても進められると思います。しかし大きな企業の中で同じことをする場合、承認を得るために、また実現に向けて大勢の人を巻き込んで進めるために精緻に計画を立てているうちに、気が付くとフォアキャスティングになっていました。実現したい未来はあっても、そこまでが遠すぎて、実際に動かせるところに手を付けるとフォアキャスティングになってしまう部分に難しさを感じました。

上村 和恵
研究開発本部 研究所
新素材研究部 デバイス材料研究室
上村 和恵

各部署から人が集まり、一つの大きな目標であるSDGsの達成へ向けて動く中で、本当に多様な人がいることに気が付くことができました。他部署というだけではない違いを感じました。壮大なゴール達成に向けて活動することを大きいと見る人、小さいと見る人、価値が高いと思う人、そのようなことをしてどんな意味があるのかと思う人、そのようなさまざまな考えを持つ人が集まり、一つのゴールへ向けて取り組む物語を見ることができたと思います。
また、自分が変わった点も発見しました。委員会を通じてSDGsをより深く知ることで、日常の中でもSDGsへつながる取り組みを考えるようになりました。私のチームは目標5の達成を考えていますが、ほかの目標も日常生活の中で意識をしたり、考えたりする習慣が自然に身につきました。
自らやりたいと思って見る世界と、やらされて見る世界は全く違うと思います。SDGsは、突拍子もない発想の転換などが起きない限り、達成できないと思います。それに気が付くためには、自ら視界を変えていく必要があると思います。これも委員会を経験して発見したことだと思います。
バックキャスティングについては、未だに難しいと思うことが多々あります。バックキャスティングで考える世界は、どんどん変わっていくように感じます。一度、ある時点でバックキャスティングでありたい姿を描いても、到達へ向けてアクションを考えスケジュールを立てた瞬間に、フォアキャスティングになってしまいます。しかし、世界は常に変わっていくため、動き続ける未来を見ながら、方向修正を繰り返す必要があると思います。目標が決まるとどうしてもそこへ行きたくなり、そのときはフォアキャスティングになっています。未だに調整(方向修正)はまだうまくできていないと感じており、苦労しています。チームとしては今のありたい姿を良いと思っていますが、世界は日々変わっていきます。私たちの描いた世界はもう既にフォアキャストの考えに近寄っているかもしれないので、常に更新していかなければならないと思います。その難しさをとても感じています。
頭で分かることと、実際に行動できることは別であることにもどかしさを感じています。しかし、チームで取り組みを進めることで、陰ながら周囲の人を巻き込み始めていると思います。サンプル作りを手伝ってもらうことで興味を持ってもらうなど、話を聞いてくれる人が出てきています。

七島 祐
研究開発本部 研究所
企画部 研究企画室
七島 祐

SDGs委員会による新規ビジネスアイデアの提案

「本業を通じ、社会課題を解決するビジネスモデル」の創出に取り組んできたSDGs委員会は、2020年3月に経営層への報告を予定していましたが、新型コロナウイルス感染の拡大状況に鑑み、10月にオンラインで「提言の会」を開催しました。
その中で、4チームから社会課題の解決と事業の採算性の両立を目指した、当社にとっては新しいビジネスモデルが提案されました。
今回の提案に当たりメンバーは、SDGsや持続可能な社会、バックキャスティング手法などを学んだあと、チームごとにメガトレンドを考慮したあるべき姿を描き、その実現に必要な戦略としてビジネスモデルをつくり上げてきました。いずれのチームも社内のさまざまな支援だけでなく外部の大学や研究機関、企業、NPO/NGO などの協力を仰ぎながら検討を重ね、当社グループの既存事業や技術にとどまることなく多様で広がりのあるアイデアを提案しました。
各チームが提言した全てのアイデアは経営層によって審査され、以降の取り扱いや進め方が決定されました。その結果、提言されたアイデアの多くがさらに踏み込んで継続検討することとなり、当委員会以外に生産本部や研究開発本部、事業部門も調査や検討を担当することになりました。

  • バックキャスティング:未来を考える上で、目標となるような状態・状況を想定し、その想定から現在に立ち返って、今何をすべきかを考える手法。

SDGs委員会西日本分科会の取り組み

大阪支店および西日本の4 工場からメンバーを募り、2020年7月に西日本分科会を発足しました。さまざまな部署から集まった11名のメンバーで2チームを編成し、コロナ禍で一度も集合できない中、オンラインでの活動に試行錯誤しながら取り組みました。
西日本分科会ではこれまでの委員会同様、基礎的な知識を学んだあと、「当社グループとして現状ではSDGs を当たり前にできていない」という問題意識を共有しました。その上で、全従業員が日頃から社会課題に対してアンテナを張り、SDGs を自身の行動へつなげるためにはどうすれば良いかチームごとに検討を重ね、2021年3月には推進担当役員やメンバーの上長に対し「SDGsの取り組みを全社活動にする提言」を行いました。
一つのチームは提言の中で、SDGs の取り組みを全社活動にするための四つのステップとして「SDGsを理解する」「リンテックを知る」「拠点を超えて交流する」「ステークホルダーとつながる」を考え、各ステップで実行する10の施策を提案しました。従業員各自への知識のインプットだけではなく、アウトプットすることを通じて行動変容することを期待した施策も考えられていました。
もう一方のチームからは、多くの人がSDGsや社会課題に興味を持ち行動を起こせるようにポイント制度が提案されました。「SDGsを当たり前にしたい」という視点から、さまざまな活動につながるアイデアが出されました。
西日本分科会での活動を振り返ったメンバーからは、新たな学びがあったことや他人事から自分事への変化を実感したなどの声があり、メンバー自身に起きた変革をうかがい知ることができました。

リンテックグループは、SDGsの目標年である2030年に向けて、長期ビジョン「LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030」を策定し、重点テーマとして「事業活動を通じた SDGs 達成への貢献」に取り組むことを掲げました。海外グループも含めグループ一丸となって挑戦を続けていきます。