サステナビリティレポート2023
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■ リンテックグループのCO₂排出量の削減目標れた組織の戦略に関わる重要な指標。ていかなければなりません。DXの中にはAIの活用もあります。研究開発本部では、AIに精通した人材育成を進め、AIを駆使してこれまでの膨大なデータから効率よく結論を導き出し、開発スピードを高める取り組みを始めました。新たな付加価値の創造という観点からも極めて有効だと考えています。 かつてのように右肩上がりで事業が成長する中では、それに見合うヒューマンリソースをいかに確保し配分・投入していくかという点に主眼があったわけですが、厳しい事業環境下では人材のスキルを最大限発揮してもらえるような環境づくりをすることが成長の鍵になります。デジタル化やロボティクスで自動化できるところは積極的に技術を取り込み、社員はシステムやロボットではできない領域で力を発揮してもらう。企業体質の強靭化を加速するために、こうしたDXの推進を速やかに、着実に進めていきます。 気候変動が当社グループの事業活動にさまざまな影響を及ぼすことを認識し、重要な経営課題の一つと捉えています。2030年までにCO₂排出量を2013年度比50%以上削減という目標の実現に向けて、生産本部を中心に無溶剤型の生産設備や排熱回収ボイラ、コージェネレーション設備、太陽光発電設備などの導入を可能な限り前倒しで進めています。2022年度からはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示の充実にも積極的に取り組んでいます。また、循環型社会を見据えた環境配慮製品の開発・製造販売にも力を入れています。例えば、脱プラスチックの流れの中で、当社の特殊紙技術を使った耐水印刷用紙「プラレスペーパーCoC」をプラスチック代替材料として提案して採用いただいたり、粘着フィルムの構成材料を再生プラスチックフィルムやバイオマス粘着剤に置き換えるなど、あらゆる取り組みを進めています。 特にラベルが貼られる対象物のリサイクル、リユース促進という観点からは、プラスチック成型品に貼ったままで分別せずにリサイクルできるラベル素材、容器などから分別する際にきれいに剥がせるラベル素材、以上の2方向の考え方に基づき、当社では20年以上前からさまざまな製品を開発・提案してきました。昨年度には、PET製容器と同素材のポリエステル系粘着剤を新たに開発し、フィルムと合わせて“モノマテリアル”ラベル素材として発売しました。PETボトルなどのリサイクル促進に寄与するアイテムとして注目されています。各種環境配慮製品の開発・提案に加え、ラベルや剥離紙の循環システム構築への取り組みも本格的にスタートさせています。 関連企業が中心となってこの6月に一般社団法人として設立された「ラベル循環協会(J-ECOL)」に参画し、使用済み剥離紙の再資源化と普及促進、リサイクル技術確立の支援、リサイクルの現状の可視化と情報発信に取り組んでいきます。一企業でできることには限界がありますので、社会的インフラを構築していくために業界挙げての取り組みが必要になってくると考えています。 当社グループにとって最大の財産は全従業員です。長期ビジョンに掲げる重点テーマの下、労働安全衛生やダイバーシティ、働き方改革の推進などについて、それぞれKPI*1を設定し、具体的な施策を進めています。65歳定年退職制、希望者に対する65歳以降70歳までの再雇用制の採用など新たに雇用規程も改定しました。 社内に常にお願いしていることは、風通しの良い組織をつくることです。家族的な雰囲気を重んじる社風は、私が入社した頃から変わっていません。社員も増え組織が大きくなっていますが、人と人との交流の中で、お互いの気持ちを素直にぶつけ合える、語り合える雰囲気を大事にしていきます。この3年半のコロナ禍ではテレワーク、在宅勤務を導入しましたが、組織内でのコミュニケーションが十分ではなかったと感じています。5月から新型コロナウイルス感染症が5類に移行されたことでオフィスに人が集まるようになり、隣同士で直接語り合える、そういう日常が戻ってきたことを嬉しく思うという声も聞こえてきます。どんなにシステムが発達しても人と人の直接的なコミュニケ―ションの全てを置き換えられるものではないと感じています。ただテレワーク、*1 KPI : Key Performance Indicator。目的に対する達成具合を定量的に計るために設定さ■■■■■2013■■■■2030年までにCO₂排出量を50%以上削減■■■■2050年までに“カーボンニュートラル”を実現06TOP MESSAGEカーボンニュートラル、循環型社会実現への取り組みステークホルダーとしての従業員を重視する経営

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