サステナビリティレポート2023
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用しないため環境負荷が少なく、乾燥設備が不要でCO₂排出量が少ないのが特徴。研究開発本部 研究所製品研究部 粘着材料研究室露﨑 貴宏事業統括本部技術・開発室 企画開発グループ宮﨑 健太郎21研究開発本部事業統括本部求められる環境対応と開発推進 研究・開発業務は、要求されるもしくはされるであろう性能を、許容されるコストで製造することを価値とするものだと見ることができます。それは製品が持っていなければならない価値となりますが、そこに環境対応という付加価値を加える必要があると考えています。脱有機溶剤によってCO₂削減に寄与するリンテックのホットメルト粘着剤の開発 環境対応といってもさまざまな手法や手段があります。開発した「HVT」シリーズは、その中でも製造工程で有機溶剤を使用しないホットメルト粘着剤*3というものになります。エマルション化した粘着剤は、環境対応という観点において有機溶剤を使用しないという点は同じですが、それぞれで一長一短あるため補完されて幅広い製品の領域をカバーできるようになります。目標達成に向けて これまでに述べてきたように、脱有機溶剤の検討を継続するほかにも、バイオマス材料を積極的に選定し、基材の薄肉化や粘着剤の低塗布量化などの開発を継続していくことはもちろんですが、より環境対応に配慮した製品に代替することを提案できるような開発を行っていきたいと考えています。私が開発を行っている製品は、実際に日常で目にしたり手に触れることが多いので、例えば「この用途であればプラスチック製のものを紙製のものに代替しても問題になることはない」といったことを自分で感じることができます。こういった日常の経験も活かしながら、継続的な環境対応製品の開発を行っていきたいと考えています。広がる顧客要求に合わせた環境配慮製品の提案 持続的な社会の実現に向けて、環境配慮への意識が高まり、さまざまな製品に貼られるラベルにも環境にやさしいものが欲しいというニーズが増えてきています。 リンテックでは、お客様のご要望にお応えするためにPETボトルをリサイクルしたカイナスKPシリーズや、耐洗紙の技術を活用したプラスチック代替ラベル材料のプラレスシリーズ、バイオマス原料を使用したラベル材料など、さまざまな低環境負荷ラベル材料をラインアップしています。脱溶剤製品の拡充を促進 特に問い合わせが増えているのがCO₂排出量の削減に関するものです。当社での取り組みとして、特に力を入れているのが製造段階で使用する有機溶剤の使用量削減です。粘着剤の脱溶剤化の取り組みの一例として、ホットメルト粘着剤「CHILL AT」を用いた製品群を販売しています。冷蔵・冷凍環境で貼り付け可能といった粘着性能面に加え、溶剤系粘着剤を用いた製品と比較し、材料および製造段階でのCO₂排出量が少ないという環境性能をご評価いただいています。 さらに、2023年には当社が独自開発した新規ホットメルト粘着剤「HVT」を用いた製品群の販売を開始しました。「CHILL AT」が低温環境での貼付性に優れるのに対し「HVT」は常温から高温までの貼付性に優れ日用品や化粧品、医薬品など、より広い用途に使用可能な製品となっています。目標達成に向けて 今後、脱溶剤化以外の低環境負荷製品の取り組みとして減プラにつながる使用材料の薄膜化や、剥離紙リサイクルなどに取り組んでいきます。また、当社ではラベル材料だけでなくラベリングマシンの開発も行っており、これまで困難とされてきたPET12μm基材を使用したラベルの貼付を可能にした薄膜ラベリングマシンの提案を行っています。この薄膜ラベリングマシンに対応した薄膜ラベル材料の開発、提案に注力していく予定です。また、ラベルを使用した後は廃棄物となってしまう剥離紙の回収、再生・再利用の検討を進めています。*3 ホットメルト粘着剤 : 粘着剤を熱で溶かしながら塗工する粘着剤処方。塗工時に有機溶剤を使

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